3歳といえばお話しが出来てくることで、コミュニケーションが取れている頃。
絵本もようやくストーリーを楽しめるようになるかなと期待がふくらみます。
絵を指差して、ストーリーと関係ない話をしてしまう。
ページをすぐめくって脱線してしまう。
こんなのうちの子だけ?と悩む方もいるのではないでしょうか。
今回は、3歳のお子さんがいるママさんから頂いた実際の相談を元に「3歳の子との読み聞かせのポイント」をお話ししていきましょう。
目次
子どもと絵本を楽しみたいママさんの悩み
今回相談してくださったのは3歳の娘さんがいるママさん。
お家での普段の読み聞かせの様子はこんな感じでした。
- 読んでる途中でページをめくってしまう
- 「〇〇だ!」と指差ししてお話しを聞いてくれない
- 『ウォーリーを探せ』『ミッケ』のような見つける系か、仕掛け絵本しか読めない
ママさん自身は本が好きなので、できたらお子さんと「絵本を介したコミュニケーションがしたい」
けどお子さんは、指をさしたり、ページをめくったりとすぐに脱線してしまい、なかなかストーリーを楽しむことができないと悩んでいました。
- 3歳でも読み聞かせが成立しないことってあるの?
- 読み聞かせのコツってあるの?
- オススメの絵本がしりたい
というのが、相談の内容でした。
3歳でも読み聞かせができないことってあるの?
もちろん、絵本のストーリーを楽しめる子も出てきます。
でも3歳はストーリーを楽しめるようになる”子もいる”くらいなのでは、というのがわたしの実感です。
というのも司書として働いてた時のこと。
勤務先の図書館では、中学生に読み聞かせ体験をしてもらうというイベントがありました。
司書が中学生に読み聞かせのやり方を教えて、何か月か練習をしてもらい、最後は実際にお客さんの前で披露してもらう、というもの。
その時お客さんとしてお招きしていたのが、近くの保育園の”5歳児のみ”
なぜなら「全員が読み聞かせを楽しめるようになるのが5歳頃だから」
実際に毎年来てくれる5歳児たちは、お話しが始まるとみんな集中して聞いてくれていました。
絶対ではないのですが、ひとつの目安として、多くの子がストーリーを楽しめるようになるのは5歳頃と言えるのではないでしょうか。
お話しを聞いてくれないのはこんな理由
気になったものについてお話ししたいから
指差しは、ストーリーを邪魔したいというよりも「お話ししたいから」ではないかなと思います。
3歳といえは言葉も覚えて、体も動かせて、色々なことに興味が出てくるお年頃。
自分が知っているものを見つけたら教えたいし、面白そうなものがあったらお話ししたい!
そういう気持ちが読み聞かせ中の「指差し」につながるのだと思います。
この興味がフックとなり、ゆくゆくストーリーや本自体を楽しむ方へつながっていくはずです。
絵本を楽しめるタイミングじゃないから
読まない時は単純に”今はタイミングじゃない”ということでもあるでしょう。
3歳は一般的に「ストーリーが楽しめるようになる頃」と言われている年齢ですが、どれくらい本を楽しめるかは、やっぱり個人差があるもの。
読み聞かせに集中できないのは、まだその子のアンテナに引っかかるものに出会えてないだけかもしれないですし、もっと他に楽しいことがあるからかもしれないのです。
「自分の読み聞かせ方が良くないのかな?」とか「3歳でも読めないなんて…」と心配になる人もいるかもしれません。
でもただタイミングが来ていないだけかもしれないので、どうか悩まず焦らず。
絵本の時間を、いま楽しめる範囲で、楽しんでみてください。
子どもの脱線に付き合ってみよう
読み聞かせはストーリーを楽しむことと同じくらい、読み聞かせの時間そのものを楽しむことも大切です。
なので、どんどん脱線に付き合ってみましょう!
例えば子どもが絵を指差したら、色が気になるのか、形が気になるのかなど、どんなことを思ったのかを是非、お話ししてみてください。
司書が習う”読み聞かせの方法”というのは存在します。
でもおうちでの読み聞かせは自由でオッケーです。
ページを戻ってもいいし、好きなところだけ読んでおしまいでも、読む側も読んでもらう側も楽しめてるなら、全然アリです!
今は、ゆくゆくストーリーを楽しめるようになるための準備期間だと考えて、子どもの見つけた”楽しさ”で一緒に遊んでみるのはどうでしょうか?
本を選ぶ時のポイント
自分が楽しめる本を読んじゃおう
読んでもらうお子さんが楽しいことはもちろん、読み手側が楽しいこともとっても大切です。
特にストーリーを楽しみたいと思っていたら、ストレスが溜まりますよね。
そこで割り切って、読み手である自分が楽しめる本を選んじゃいましょう!
自分が子どもの頃に読んでもらって楽しかった思い出の本や、イラストが可愛くって好きなもの。
子どもにはまだ少しストーリーが難しいものでも、時には構いません。
子どもの脱線に付き合うかわりといってはなんですが、時には自分の楽しさも優先してみてくださいね。
その子の興味があるものから探してみよう
本を選ぶ基準は色々あります。
評判が良いもの、年齢にあっているもの、教育的なものなどなど。
その中から自分の子に合うものを探すことも多いかもしれません。
つまり「本ありきの探し方」になっているということ。
しかしここでわたしがオススメしたいのが「子どもの興味ありきの探し方」
まずお子さんが興味があることがあって、それが載っていそうな本を探すという探し方です。
例えば、動物や乗り物など具体的なモノから探すのもありですし行動から探すのもありです。
今回の相談でいうとお子さんは「”見つける”ことが好き」
ここから相談者さんのように見つける絵本にいくのもいいですし、見つけるように遊べそうな”書き込みの多い絵本”を選ぶということもできます。
この時、絵本の対象年齢とお子さんの年齢がズレた本を選んでも大丈夫です。
年齢はあくまでも目安なので、それよりもお子さんの興味を優先してみてください。
ストーリーに集中できない子にオススメの絵本
100かいだてのいえ
絵本ナビ『100かいだてのいえ』
いわいとしおさんによる、縦になが~い大きな絵本。
名前の通り100階あるお家が出てきて、ネズミさん、リスさん、ミツバチさんなど色々な生きものが、それぞれのお部屋に暮らしています。
主人公のトチくんによる探検というストーリーはあるものの、きちんと追いかけなくても、イラストを見ているだけで十分楽しめちゃいます!
この他に『ちか100かいだてのいえ』『うみの100かいだてのいえ』『そらの100かいだてのいえ』とシリーズになっているので、気になる方はそちらも読んでみてくださいね。
ちくわのわーさん
絵本ナビ 『ちくわのわーさん』
岡田よしたかさんによる、最高にシュールな絵本。
なんと主人公は「ちくわ」
絵柄が結構リアル!しかも何故か関西弁。
陽気なちくわのわーさんが、ある目的地を目指す途中で、ドーナツになろうとしてみたり、こいのぼりになろうとしてみたり。
・・・何を言ってるのか分からないと思うのですが、本当にそういうお話しなんです(笑)
オチもなかなか笑っちゃいますよ。
がっつりストーリーはあるのですが、この設定の突飛さでストーリーに興味を持ってもらえるかなと思ってます。
食べ物シリーズとして他にも『こんぶのぶーさん』『うどんのうーやん』『さくらもちのさくらこさん』というのもあります。
そちらも合わせてぜひ!
14ひきのあさごはん
絵本ナビ 14ひきのあさごはん
いわむらかずおさんによる『14ひきシリーズ』のうちのひとつ。
1983年に最初の本が発売されてから、30年以上愛され続けているシリーズです。
14ひきの野ネズミの家族が、朝起きて、顔を洗って、着替えて…と普段のわたしたちと同じように生活していく様子が描かれた絵本。
シリーズ全体を通して、暮らしや季節にまつわるものが多いので「これ知ってる!」と興味を持ってもらえるかもしれません。
いわむらさんの、ほんわかと優しい絵は見ているだけでも癒されますし、
- お家の中や森の草木まで、本当に細かく書き込まれている
- 「〇〇したの、だれ?」「なにつくってる?」など、こちらへ問いかける文章
というところも”探すように”楽しめるので、オススメです。
おわりに
絵本の読みきかせで大切なのは”楽しかった”と思ってもらうこと。
その楽しさはストーリーを読む以外でも、絵そのものだったり、家族と一緒に絵を見てお話しすることだったりで、得ることもできます。
読んであげる側の大人の楽しさも、もちろん忘れずに。
自由に読みきかせを楽しんでみてくださいね。